#232 既存統計を用いることで製品重量の推計における客観性を担保する

前回の投稿において、重量単価設定における再現性を担保するために、Web 上の公開情報や製品カタログではなく、既存の文献や統計資料、各種報告書に記載されている値を用いる必要があることについて言及しました。

今回の投稿では、既存の文献や統計資料、各種報告書などを用いたマテリアルフロー分析の先行研究について、ご紹介します。

既存統計を利用したマテリアルフロー分析の先行研究

今回ご紹介するのは、「既存統計を用いた食品産業の物質フロー解析 -茨城県を事例とした地域診断モデルの開発-」という研究論文です。

宮竹 史仁, 椎名 武夫, 田坂 行男, 既存統計を用いた食品産業の物質フロー解析, システム農学, 2004, 20 巻, 2 号, p. 185-192(以下、「宮竹ら(2004)と表記)

本論文は、地域における食料資源の流通を診断するモデルを開発するために、原重量、窒素、炭素を指標とした食品産業の物質フローを調査したものになります。

具体的には、物質フロー・モデルの対象として1990年及び1995年の茨城県を取り上げ、官庁統計ならびに各種調査報告書、文献等のみを用いて、食料資源の投入から廃棄に至るまでのフローを解析しています。

既存統計を用いることで客観性を担保

以下は、宮竹ら(2004)からの引用です。

煩雑な地域調査を必要とせず、官庁統計などの積み上げにより客観的に物質フローを解析することが望ましいと考えられる。

官庁等により公開されている既存統計を用いて食品産業のフローを推計

既存統計のみで把握しきれない部分は各種文献等より設定値を試算し、可能な限り物質フローを追跡した。

一方、本ブログで主に参考にしている、橘ら(2012)はWeb上の公開情報や製品カタログなどを参考にいくつかの製品重量を調べ、その平均値を取ることにより重量を設定しています。

製品重量を調べる際には、Web上(に多数存在すると思われる製品)の公開情報や製品カタログの中から情報を取捨選択することになります。

管理人は、この取捨選択の際に、客観性を担保することに課題があること、そして、客観性を担保するためには、既存統計を利用することが望ましいのではないかと考えました。

再現性と客観性を担保するために

前回の投稿では、重量単価設定における再現性を担保するために、Web 上の公開情報や製品カタログではなく、既存の文献や統計資料、各種報告書に記載されている値を用いることが有用であることについて言及しました。

それに加えて、今回の投稿において、既存統計を利用することで、客観性の担保も可能になることについて、指摘しました。

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