#239 初期重量単価の簡便な推計方法

地域における循環型社会形成推進の担当者が、自地域のマテリアルフロー分析を実施し、循環型社会形成の度合いを定量的に把握できるようにするには、産業連関表を用いたトップダウン型の方法が望ましいと考えられます。

専門家の試行錯誤から脱却、再現性の担保と簡便性を重視

後藤ら(2001)は、産業別に重量単価を設定し、愛知県におけるマテリアルフロー分析を行っています。しかしながら、後藤らのモデルにおいて、重量単価は専門家の試行錯誤により決定されたものであり、再現性に課題を残しています。

橘ら(2012)は、生産量と廃棄物量による最適化手法を用いて重量単価を設定し、神奈川県のマテリアルフロー分析を行っています。

けれども、初期重量単価の推計において、Web上の公開情報や製品カタログを用いたり、実際の重量を測定したりというように、膨大なコストを費やしています。

そこで本ブログでは、初期重量単価の推計において、再現性の担保と簡便性を重視することにします。具体的には、以下に述べるような初期重量単価の簡便な推計方法を提案し、その精度を定量的に評価していきます。

初期重量単価の推計方法を整理

部門別品目別国内生産額表から各産業の生産単位、生産数量、生産額のデータを引用し、各産業の初期重量単価を以下の手順で推計します。

  1. 産業内製品の生産単位が全て重量表示の場合、それらの値を用いて算出。
  2. 産業内製品の生産単位の一部が重量表示の場合、その一部のみを用いて1. と同様に推計。
  3. 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれないが、重量換算値が既存の統計資料から得られる場合、その重量換算値を用いて重量に換算。
  4. 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれず、重量換算値が既存の統計資料を得ることが困難な場合、全国貨物純流動調査(物流センサス)の出荷原単位を用いて重量単価を算出。
  5. 産業の算出がないため重量単価を設定しない

上記の方法で初期重量単価を設定した後、橘ら(2012)による最適化手法を援用し、2000年のマテリアルフローを推計します。得られたマテリアルフローと橘ら(2012)の結果とを比較して、本手法の精度を定量的に評価します。

引用文献

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