#240 物流センサスから初期重量単価を推計
投稿#239において、初期重量単価の推計方法を以下のように整理しました。
部門別品目別国内生産額表から各産業の生産単位、生産数量、生産額のデータを引用し、各産業の初期重量単価を以下の手順で推計します。
- 産業内製品の生産単位が全て重量表示の場合、それらの値を用いて算出。
- 産業内製品の生産単位の一部が重量表示の場合、その一部のみを用いて1. と同様に推計。
- 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれないが、重量換算値が既存の統計資料から得られる場合、その重量換算値を用いて重量に換算。
- 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれず、重量換算値が既存の統計資料を得ることが困難な場合、全国貨物純流動調査(物流センサス)の出荷原単位を用いて重量単価を算出。
- 産業の算出がないため重量単価を設定しない
推計作業を進めていくうちに、上記4.について検討が必要になってきたと感じたので、具体例を挙げて詳細を記述していくことにします。
1. 従業者規模階層が単一である場合
例えば、1141 たばこでは、該当する業種(小分類)が135 たばこ製造業と単一です。なおかつ、従業者規模階層が全規模での出荷原単位(kg/万円)が2.41と単一の値になっています。この場合、出荷原単位(kg/万円)を初期重量単価(t/百万円)に換算した値をそのまま利用することになります。
2. 複数の従業者規模階層別の出荷原単位がある場合
例えば、1521 衣服では、従業者規模階層が1の出荷原単位と2〜4の出荷原単位が異なっています。そこで、従業者規模階層別の標本事業所数を用いて、以下の算出式から平均の出荷原単位を算出します。その後で初期重量単価(t/百万円)に換算します。
$$
出荷原単位(kg/万円) = 階層が1の出荷原単位 ✕ 階層が1の標本事業所数 ÷(各階層の標本事業所数合計)+ 階層が2〜4の出荷原単位 ✕ 階層が2〜4の標本事業所数 ÷(各階層の標本事業所数合計)
$$
3. 業種(小分類)ごとに出荷原単位が異なる場合
例えば、1611 製材・合板・チップでは、物流センサスにおいて該当する業種(小分類)が以下の2業種で、出荷原単位が異なっています。
コード | 名称 | 従業者規模階層 | 地域 | 標本事業所数 | 出荷原単位(kg/万円) |
---|---|---|---|---|---|
161 | 製材業,木製品製造業 | 全規模 | 全国 | 160 | 137.98 |
162 | 造作材・合板・建築用組立材料製造業 | 全規模 | 全国 | 92 | 72.76 |
この場合、以下のように、平成12年部門別品目別生産額表から、業種(小分類)に該当する行コード毎の生産額を予め入力した表を用意します。
行コード | 名称 | 単位 | 生産数量 | 生産額(百万円) |
---|---|---|---|---|
161101 | 製材 | 994854 | ||
161102 | 合板 | 791937 | ||
161103 | 木材チップ | 92443 |
各行コードの生産数量の列には、該当する業種(小分類)の出荷原単位に各生産額を乗じた後、重量[t]に換算した値を入力します。
行コード | 名称 | 単位 | 生産数量 | 生産額(百万円) |
---|---|---|---|---|
161101 | 製材 | t | 13726995.492 | 994854 |
161102 | 合板 | t | 5762133.612 | 791937 |
161103 | 木材チップ | t | 1275528.514 | 92443 |
最後に、生産数量の和を生産額の和で除せば、初期重量単価(t/百万円)が算出できます。
4. 業種(小分類)ごとに複数の従業者規模階層別の出荷原単位がある場合
上述の2. と3. が合わさった事例になります。この場合は、
①業種(小分類)別の平均の出荷原単位を算出します。算出方法は上述の2. と同じになります。
②各行コードの生産数量[t]を算出します。算出方法は上述の3. と同じになります。
③生産数量の和を生産額の和で除して、初期重量単価(t/百万円)を算出します。
まとめ
今回の投稿は、物流センサスの出荷原単位を利用して初期重量単価を推計する方法の詳細についてでした。