#253 2005年(平成17年)産業連関表における林業の初期重量単価推計(その2)
今回の投稿は、投稿#203で行った、2005年(平成17年)産業連関表における林業の初期重量単価推計の再検討および変化率の設定についてです。
初期重量単価の推計方法を整理
最初に、初期重量単価の推計方法について整理を行います。2000年産業連関表における初期重量単価の推計について、部門別品目別国内生産額表から各産業の生産単位、生産数量、生産額のデータを引用することを基本として、各産業の初期重量単価を以下の手順で推計しました。
- 産業内製品の生産単位が全て重量表示の場合、それらの値を用いて算出。
- 産業内製品の生産単位の一部が重量表示の場合、その一部のみを用いて1. と同様に推計
- 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれないが、重量換算値が既存の統計資料から得られる場合、その重量換算値を用いて重量に換算
- 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれず、重量換算値が既存の統計資料を得ることが困難な場合、全国貨物純流動調査(物流センサス)の出荷原単位を用いて重量単価を算出
- 既に推計が完了している他の類似の産業と重量単価が同等と仮定して推計
- より大きい分類の平均重量単価を利用
- 産出物の材料となる投入物の重量を推計
- 物量表の値を利用
- 産業の産出がないため重量単価を設定しない
0211 育林
品目別国内生産額表において、品目02110111 山行き苗木については生産数量が千本となっていて、品目02110112 造林については生産数量に関する記載がありませんでした。
2000年の初期重量単価推計では、品目02110111 山行き苗木については、120g/本と仮定して重量換算した値を利用しました。
けれども、最適化計算における変化率下限・上限を設定する際に、上述の初期重量単価が不適切であることについて、投稿#249で言及しました。
続く投稿#251では、
橘ら(2012)が推計した初期重量単価を本研究における初期重量単価として直接利用することにします。次にratio(橘ら(2012)における最適化後の重量単価を橘ら(2012)における初期重量単価で除した値)によって、変化率下限・上限を設定しました。
というようにして、初期重量単価および変化率下限・上限を設定しました。
2005年の初期重量単価については、橘ら(2012)が推計した初期重量単価を直接利用します。また、変化率下限・上限を0に設定することにします。
初期重量単価の推計方法10.を追加
ここで、先ほど整理した、初期重量単価の推計方法に新たなものを追加します。すなわち、
- 橘ら(2012)が推計した2000年初期重量単価をそのまま利用
が、新たに追加となります。
0212 素材
最初に、各細品目の生産数量[立方米]を以下の資料から取得します。
02120111 素材(国産)
平成17年木材需給報告書に記載の樹種別素材生産量[立方米]を取得します。
次に、日本木材総合情報センターの情報より、樹種別の気乾比重を以下のように設定しました。
- すぎ:0.38
- ひのき:0.41
- あかまつ・くろまつ:0.52
- からまつ:0.5
- えぞまつ・とどまつ:0.435
- その他の針葉樹 :0.475
- 広葉樹:0.65
02120112 その他の素材関連生産物
0212011201 林地残材
針葉樹・広葉樹別に、平成17年木材需給報告書の林地残材から生産した木材チップ量を取得します。
0212011202 しいたけ用ほだ木の原木
平成17年特用林産物基礎資料に記載の材積量および樹種別構成比を取得します。
そして、以下の気乾比重をもちいて、生産量[t]に換算します。
- ナラ(ミズナラ): 0.68
- クヌギ : 0.86
以上より、初期重量単価の推計方法は3.に該当し、2000年次の推計方法と同様になります。変化率下限・上限も2000年次と同様にして、下限を0、上限を0.2に設定します。
0213 特用林産物
02130111 採取果実
以下の細品目については、平成17年特用林産物基礎資料に記載の生産量を直接利用しました。
- 0213011101 くり
- 0213011102 くるみ
- 0213011201 まつたけ
- 0213011202 しいたけ(生)
- 0213011203 しいたけ(乾)
- 0213011204 なめこ
- 0213011205 えのきたけ
- 0213011206 ひらたけ
- 0213011301 ねまがりたけ
- 0213011302 わさび
- 0213011401 生うるし
- 0213011402 木ろう
- 0213011405 木炭
また、0213011299 その他のきのこ類 に該当する以下の細品目については、平成17年特用林産物基礎調査に記載がある、以下の種類のきのこの生産量を積み上げました。
- ぶなしめじ
- まいたけ
- エリンギ
- きくらげ
以下の細品目については、品目別国内生産額表に生産数量の記載がなく、生産数量について記載した他の統計資料を見つけることができませんでした。
- 0213011403 竹材
- 0213011404 薪
以上より、0213 特用林産物の初期重量単価の推計方法は2.で、2000年次と同様になります。変化率下限・上限を2000年次と同様に、下限を0、上限を0.2に設定します。