#256 2005年(平成17年)産業連関表における食料品の初期重量単価推計(その2)
今回の投稿は、投稿#206で行った、2005年(平成17年)産業連関表における食料品の初期重量単価推計の再検討および変化率の設定についてです。
初期重量単価の推計方法を整理
最初に、初期重量単価の推計方法について整理を行います。2000年産業連関表における初期重量単価の推計について、部門別品目別国内生産額表から各産業の生産単位、生産数量、生産額のデータを引用することを基本として、各産業の初期重量単価を以下の手順で推計しました。
- 産業内製品の生産単位が全て重量表示の場合、それらの値を用いて算出。
- 産業内製品の生産単位の一部が重量表示の場合、その一部のみを用いて1. と同様に推計
- 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれないが、重量換算値が既存の統計資料から得られる場合、その重量換算値を用いて重量に換算
- 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれず、重量換算値が既存の統計資料を得ることが困難な場合、全国貨物純流動調査(物流センサス)の出荷原単位を用いて重量単価を算出
- 既に推計が完了している他の類似の産業と重量単価が同等と仮定して推計
- より大きい分類の平均重量単価を利用
- 産出物の材料となる投入物の重量を推計
- 物量表の値を利用
- 産業の産出がないため重量単価を設定しない
- 橘ら(2012)が推計した2000年初期重量単価をそのまま利用
1111 と畜
品目別国内生産額表において、以下の細品目については、生産数量が[枚]となっています。
- 1111015101 牛皮
- 1111015102 小牛皮
- 1111015103 豚皮
- 1111015104 馬皮
また、以下の細品目について、生産数量の記載がなく、生産額のみ記載があります。
- 1111015801 内臓
- 1111015802 肉鶏処理副産物
- 1111015899 その他
上記いずれかの該当する細品目については、生産量[t]について記載した統計資料を見つけることができませんでした。また、上記以外の細品目については、品目別国内生産額表には、生産量[t]と生産額の両方が記載されています。
したがって、初期重量単価の推計方法は、2000年次と同様に、2.となります。変化率下限・上限も2000年次と同様に、下限を-0.2、上限を0に設定しました。
1112 畜産食料品
品目別国内生産額表において、以下の細品目については、生産量がklで記載されています。それら以外の細品目については、生産量[t]と生産額の両方が記載されています。
- 1112031001 牛乳(市乳)
- 1112031002 加工乳
- 1112032101 乳飲料
- 1112032102 乳酸菌飲料
- 1112032103 発酵乳
- 1112032401 アイスクリーム
- 1112032402 アイスミルク
- 1112032403 ラクトアイス
上述の細品目のうち、以下の細品目については、1t/klとして重量換算を行ったのち、初期重量単価の推計に利用しました。
- 1112031001 牛乳(市乳)
- 1112031002 加工乳
- 1112032101 乳飲料
- 1112032102 乳酸菌飲料
- 1112032103 発酵乳
また、下記の細品目については、重量換算する際に必要な換算値を他の統計資料から見つけることができませんでした。
- 1112032401 アイスクリーム
- 1112032402 アイスミルク
- 1112032403 ラクトアイス
したがって、初期重量単価の推計方法は2000年次と同様に2.となります。変化率下限・上限も2000年次と同様に、下限を0、上限を0.2に設定しました。
1113 水産食料品
品目別国内生産額表において、下記以外の細品目については、生産量[t]と生産額の両方が記載されていました。
- 1113011103 塩蔵品の冷凍
- 1113011199 その他の加工品の冷凍
- 111309502 焼・味付のり
一方、上記の細品目については、生産量[t]について記載した他の統計資料を見つけることができませんでした。
したがって、初期重量単価の推計方法は2.となります。2000年次の初期重量単価の推計方法は1.で異なりますが、変化率下限・上限は、2000年次と同様に、下限を0.5、上限を0.7に設定します。
1114 精穀・製粉
品目別国内生産額表において、すべての品目について生産量[t]と生産額の両方が記載されていました。したがって、それらを直接利用して初期重量単価を推計します。
よって、初期重量単価の推計方法は2000年次と同様に1.となります。変化率下限・下限も2000年次と同様に下限・上限ともに0に設定します。
1115 めん・パン・菓子類
品目別国内生産額表において、以下の細品目については、生産量が「小麦粉使用t」で、それ以外の細品目については生産量[t]で記載されています。
- 1115011001 生めん類
- 1115011002 乾めん類
- 1115011003 即席めん類
- 1115021001 食パン
- 1115021002 学校給食パン
- 1115021003 菓子パン
- 1115021099 その他のパン
初期重量単価の推計は、それらの生産量の値を直接利用して行いました。したがって、初期重量単価の推計方法は1.となり、2000年次と異なります。
変化率下限・上限については、2000年次と同様にして、下限を0、上限を0.2に設定します。
1116 農産保存食料品
品目別国内生産額表において、すべての細品目について生産量[t]と生産額の両方が記載されていました。
したがって、初期重量単価の推計方法は1.となり、2000年次と同様になります。変化率下限・上限についても、2000年次と同様に下限を0、上限を0.2に設定しました。
1117 砂糖・油脂・調味料類
品目別国内生産額表において、以下の細品目については、生産量がklで表示されていました。
- 1117061102 しょうゆ
- 1117061301 ソース
- 1117061302 たれ類
- 1117061802 食酢(醸造酢・合成酒)
- 1117061806 みりん風調味料(甘味系)
- 1117061807 発酵調味料(しおみりん系)
- 1117061809 めんつゆ類
また、以下の細品目については、生産量の記載がありませんでした。
- 1117061803 ぽん酢類
- 1117061810 粉末・固形調味料(各種料理の素)
- 1117061811 即席みそ汁・お吸物
- 1117061812 お茶づけ・ふりかけ類
上で箇条書きした細品目の生産量[t]について記載した他の統計資料を見つけることができませんでした。
上で箇条書きした以外の細品目については、生産量[t]と生産額の両方が記載されていました。
したがって、初期重量単価の推計方法は2.となり、2000年次と同様になります。変化率下限・上限についても、2000年次と同様に下限を0、上限を0.2に設定しました。
1119 その他の食料品
品目別国内生産額表において、下記の細品目については、生産量[t]についての記載がなく、生産量[t]について記載した他の統計資料を見つけることができませんでした。
- 1119031001 そう菜
- 1119031002 すし・弁当
- 1119031003 製造小売分
- 1119041001 学校給食(国公立)★★
- 1119051001 学校給食(私立)★
- 1119099310 玄米茶
- 1119099312 ふ、焼ふ
- 1119099502 その他の酵母
したがって、品目別国内生産額表に生産量[t]と生産額の両方の記載がある、上記以外の細品目の値を利用して、初期重量単価を推計します。
初期重量単価の推計方法は2.となり、2000年次と同様になります。変化率下限・上限も2000年次と同様に下限を0、上限を0.2に設定しました。