#251 2005年(平成17年)産業連関表における耕種農業の初期重量単価を推計(その2)

今回の投稿から、2005年の初期重量単価および最適化計算における変化率下限・上限の設定について検討を行っていきます。

今回は、投稿#200で行った、2005年産業連関表における耕種農業の初期重量単価を再度検討するとともに、変化率下限・上限についても設定していきます。

初期重量単価の推計方法を整理

最初に、初期重量単価の推計方法について整理を行います。2000年産業連関表における初期重量単価の推計について、部門別品目別国内生産額表から各産業の生産単位、生産数量、生産額のデータを引用することを基本として、各産業の初期重量単価を以下の手順で推計しました。

  1. 産業内製品の生産単位が全て重量表示の場合、それらの値を用いて算出。
  2. 産業内製品の生産単位の一部が重量表示の場合、その一部のみを用いて1. と同様に推計
  3. 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれないが、重量換算値が既存の統計資料から得られる場合、その重量換算値を用いて重量に換算
  4. 産業内製品の生産単位に一つも重量表示が含まれず、重量換算値が既存の統計資料を得ることが困難な場合、全国貨物純流動調査(物流センサス)の出荷原単位を用いて重量単価を算出
  5. 既に推計が完了している他の類似の産業と重量単価が同等と仮定して推計
  6. より大きい分類の平均重量単価を利用
  7. 産出物の材料となる投入物の重量を推計
  8. 物量表の値を利用
  9. 産業の産出がないため重量単価を設定しない

2005年産業連関表における初期重量単価の推計についても、上記の方法を踏襲することにします。

0111 穀類

平成17年産業連関表の物量表に、以下の細品目の生産数量[t]と生産額が記載されていたので、それらを直接利用して推計を行いました。

  • 0111011 米
  • 0111012 稲わら
  • 0111021 小麦(国産)
  • 0111022 小麦(輸入)
  • 0111023 大麦(国産)
  • 0111024 大麦(輸入)

したがって、初期重量単価の推計方法は、1.となります。また、1.の場合は、品目別国内生産額表から生産量の統計値と初期重量単価の両方が推算できるため、変化率上限・下限の値を0に設定します。

0112 いも・豆類

以下の細品目については、平成17年産業連関表の物量表に、生産数量[t]と生産額が記載されていたので、それらを直接利用しました。

  • 0112011 かんしょ
  • 0112012 ばれいしょ
  • 0112021 大豆(国産)
  • 0112022 大豆(輸入)

次に、以下の細品目については、部門別品目別国内生産額表に生産額のみ記載されていました。

  • 0112029002 いんげん豆
  • 0112029003 小豆
  • 0112029005 らっかせい

そこで、平成17年産作物統計調査より、生産量を別途利用しました。

また、以下の品目については、品目別国内生産額表に生産額のみ記載されていました。

  • 0112029001 えんどう(種)
  • 0112029004 ささげ

そこで、平成17年産特産農作物生産実績に記載の生産量を別途利用しました。

また、細品目0112029099 その他の豆類 の生産量については、データを得ることができませんでした。

そこで、0112029099 その他の豆類以外の細品目の生産量と生産額から、0112 いも・豆類の初期重量単価を推計しました。

したがって、初期重量単価の推計方法は、2.となります。2000年次と同じ推計方法を用いたので、変化率も同じ、下限を0、上限を0.2に設定します。

0113 野菜

部門別品目別国内生産額表には、生産額のみが記載されています。そこで、作物統計調査より、品目ごとの収穫量のデータを転記して初期重量単価を推計することにします。

まず、部門別品目別国内生産額表に目を移すと、

かぼちゃ(露地)
かぼちゃ(施設)

というように、同じ作物で異なる栽培方法で生産額が分けられているので、

かぼちゃ

というように、作物名単体の列を作り、そこに、露地栽培と施設栽培の生産額の合計値を入力するようにしました。

次に、作物統計調査に目を移すと、こちらは作物名単体の列と、それぞれの作物の収穫時期別の収穫量のデータがあります。

だいこんを例に取ると、

だいこん(3)
 春  (4)
 夏  (5)
 秋冬 (6)

というようにデータが並んでいますが、今回は、(3)のデータを使用することになります。

また、以下の品目については作物統計調査においても、また他の統計資料でも重量に関するデータが得られませんでした。

  • その他の果菜類
  • その他の漬菜
  • たけのこ
  • その他の葉茎菜類
  • その他の根菜類
  • もやし

したがって、上記以外の細品目における生産量と生産額を用いて、0113 野菜の初期重量単価を推計しました。

推計法は2.となります。2000年次と同じ方法を用いたので、重量変化率も同様に、下限を0、上限を0に設定します。

0114 果実

平成17年部門別品目別国内生産額表には、生産額のみが記載されています。
そこで、作物統計調査の平成17年産果樹生産出荷統計から、品目ごとの収穫量のデータを転記して重量単価[初期値]を推計することにします。

みかんを例に取ると、みかん全種類のデータが「みかん」で、そのうちの種類ごと(早生温州など)のデータが「早世温州」などにあたります。

今回は、各果樹の全種類データを採用することにして、果樹毎の収穫量を部門別品目別国内生産額表から推計しました。

また、以下の品目については、生産量に関するデータを統計資料から見つけ出すことができませんでした。

  • その他のかんきつ
  • かんきつ類の植物成長
  • りんごの植物成長
  • その他の果実
  • その他の果実の植物成長

そこで、上記以外の品目における生産量と生産額から、0114 果実の初期重量単価を推計しました。

したがって、初期重量単価の推計方法が2000年次と同じ2.となるので、変化率も同様に、下限を0、上限を0に設定します。

0115 その他の食用作物

平成17年産業連関表の物量表に、全ての細品目の生産数量[t]と生産額が記載されていたので、それらを直接利用して初期重量単価の推計を行いました。

したがって、初期重量単価の推計方法は、1.となります。

また、1.の場合は、品目別国内生産額表から生産量の統計値と初期重量単価の両方が推算できるため、変化率上限・下限の値を0に設定します。

0116 非食用作物

以下の細品目については、生産量[t]を平成17年産作物統計から、生産額[百万円]は部門別品目別国内生産額表からデータを得ることができました。

  • 0116011102 いね科
  • 0116011103 まめ科といね科のまぜまき
  • 0116011801 青刈りとうもろこし
  • 0116011802 ソルゴー
  • 0116011803 青刈りえん麦

以下の細品目については、平成17年産業連関表の物量表に、生産数量[t]と生産額が記載されていたので、それらを直接利用します。

  • 0116091 葉たばこ
  • 0116092 生ゴム(輸入)
  • 0116093 綿花(輸入)

0116099103 おうれん については、平成17年特用林産基礎資料に記載の生産量を別途利用しました。

0116099108 はとむぎ については、公益財団法人 日本特産農作物種苗協会の特産種苗9号に記載の収穫量を別途利用しました。

以下の細品目については、公益財団法人日本特産農産物協会の薬用作物及び和紙原料等に関する資料に記載の生産量を別途利用しました。

  • 0116099201 こうぞ
  • 0116099202 みつまた
  • 0116099203 とろろあおい

以下の細品目については、生産量を別途平成17年産特産農作物生産実績に記載のデータを利用しました。

  • 0116099301 い草
  • 0116099302 しちとうい

上述以外の細品目については、生産量に関するデータを統計資料が得ることができませんでした。
したがって、初期重量単価の推計方法は2.になります。

初期重量単価の推計方法が2000年次と同じなので、変化率も同様に、下限を-0.5、上限を-0.2に設定します。

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