#139 2013年(平成25年)大阪府産業連関表における粗付加価値部門の各項目の総額推計
これまでの投稿で行ってきたこと
投稿#137までにおいて、2013年(平成25年)大阪府産業連関表における生産額を推計してきました。
また、投稿#138において、生産額の推計値と公表されている生産額(統計値)を比較したところ、相関係数が0.95を超え、推計方法の精度が高いことが確認できました。
これで、2013年(平成25年)大阪府産業連関表の推計における最初の作業、生産額の推計が完了したことになります。
今回の投稿から、次の作業となる粗付加価値額の推計に入ります。
(1)粗付加価値部門の各項目の総額推計
(1)粗付加価値部門の各項目の総額推計
家計外消費支出の総額は、(2)で推計する内訳額を合計した。
家計外消費支出以外の各項目の総額は、下式により求め固定した。
$$
平成23年大阪府基本表の粗付加価値部門の各項目行和額 ×\frac{平成25年府民経済計算の各項目額}{平成23年府民経済計算の各項目額}\
$$
(2)粗付加価値部門の各項目の内訳額推計
平成 23 年大阪府基本表の投入係数に、平成 25 年大阪府延長表の生産額を乗じた。
(3)差額調整
家計外消費支出以外の項目では、(1)で推計した総額と(2)で推計した内訳額の行和が異なるため、差額を内訳額の行和に占める各内訳額の構成比により按分し、各内訳額に加えて調整した。
大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」より
「家計外消費支出以外の各項目」というのは、粗付加価値部門の以下の項目を指します。
- 9111 賃金・俸給
- 9112 社会保険料(雇用主負担)
- 9113 その他の給与及び手当
- 9211 営業余剰
- 9311 資本減耗引当
- 9321 資本減耗引当(社会資本等減耗分)
- 9411 間接税(関税・輸入品商品税を除く。)
- 9511 (控除)経常補助金
2011年(平成23年)大阪府産業連関表(190部門)をダウンロードし、加工を加えていきます。
平成23年大阪府基本表の粗付加価値部門の各項目行和額の算出
最初に、各項目の列方向において、
- 内生部門への中間投入額(0111〜7000)
- 家計外消費支出(行) 7111
- 粗付加価値部門計 9600
- 府内生産額 9700
の金額を全て削除します。
その上で、粗付加価値部門の各項目行和額を算出します。
府民経済計算の伸び率の算出
次に、粗付加価値部門の各項目の
$$
\frac{平成25年府民経済計算の各項目額}{平成23年府民経済計算の各項目額}\
$$
の算出になります。
9111 賃金・俸給
まず、大阪府府民経済計算(平成18年度から平成30年度)のExcelファイル「08SNA 平成23暦年基準」をダウンロードします。
ダウンロードしたファイルにおいて、「2-(1)-a 府民所得及び府民可処分所得の分配 (名目:実額)」(sheet名:分配_実額)中の「1. 府民雇用者報酬 (1) 賃金・俸給」の値から算出します。
なお、府民経済計算は、会計年度ベースで記載されているので、暦年ベースに変換します。
例えば、平成23年の値を算出する場合、変換式は以下のようになります。
$$
平成23年の値=平成22年度の値×\frac{3}{12}\ + 平成23年度の値×\frac{9}{12}\
$$
9112 社会保険料(雇用主負担)
先述のダウンロードした2-(1)-a 府民所得及び府民可処分所得の分配 (名目:実額)」(sheet名:分配_実額)中の「1. 府民雇用者報酬 (2) 雇主の社会負担」の値から算出します。
9113 その他の給与及び手当
以下の算出式を用いて、「9113 その他の給与及び手当」を算出します。
$$
その他の給与及び手当 = 府内雇用者報酬 - 賃金・俸給 - 社会保険料(雇用主負担)
$$
(2022年11月23日追記)
なお、上述の式中の府内雇用者報酬は、大阪府総務部統計課情報企画グループ「大阪府民経済計算(平成30年度 確報)」のIII 基本勘定 1 統合勘定(1) 府内総生産勘定(生産側と支出側)における、「1.1 雇用者報酬(府内活動による) (2.4) 」の値を直接使用しました。
9211 営業余剰
大阪府総務部統計課情報企画グループ「大阪府民経済計算(平成30年度 確報)」のIII 基本勘定 1 統合勘定(1) 府内総生産勘定(生産側と支出側)における、「営業余剰・混合所得」の値を用いました。
9311 資本減耗引当、9321 資本減耗引当(社会資本等減耗分)
どちらも、上述の基本勘定における「固定資本減耗」の値を用いて算出しました。
9411 間接税(関税・輸入品商品税を除く。)
大阪府総務部統計課情報企画グループ「大阪府民経済計算(平成30年度 確報)」のIII 基本勘定 1 統合勘定(1) 府内総生産勘定(生産側と支出側)における「生産・輸入品に課される税 」から、4経済活動別府内総生産及び要素所得における「輸入品に課される税・関税」を引くことで算出しました。
算出式は、以下のようになります。
$$
関節税(関税・輸入品商品税を除く。) = 生産・輸入品に課される税 - 輸入品に課される税・関税
$$
9511 (控除)経常補助金
大阪府総務部統計課情報企画グループ「大阪府民経済計算(平成30年度 確報)」のIII 基本勘定 1 統合勘定(1) 府内総生産勘定(生産側と支出側)における「(控除)補助金」の値を用いて算出しました。
粗付加価値部門の各項目の総額推計
下記の推計式より、家計外消費支出以外の各項目の総額を求め固定します。
$$
平成23年大阪府基本表の粗付加価値部門の各項目行和額 ×\frac{平成25年府民経済計算の各項目額}{平成23年府民経済計算の各項目額}\
$$
(2)粗付加価値部門の各項目の内訳額の推計
推計方法の確認
(2)粗付加価値部門の各項目の内訳額推計
平成23年大阪府基本表の投入係数に、平成25年大阪府延長表の生産額を乗じた。
大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」より
平成25年大阪府延長表の生産額は、#137までで各項目(統合小分類190部門)において推計が全て終えています。
平成25年延長表の生産額を転記
平成23年大阪府基本表を加工していきます。
各項目の列方向において、
- 内生部門への中間投入額(0111〜7000)
- 家計外消費支出(行) 7111
- 粗付加価値部門計 9600
- 府内生産額 9700
の金額を全て削除します。
そして、各項目の府内生産額 9700に、投稿#137までで推計してきた、平成25年大阪府延長表の生産額を転記していきます。
平成23年大阪府基本表の投入係数を乗じる
先程転記した、平成25年大阪府延長表の生産額に、平成23年大阪府基本表の投入係数を乗じることで、粗付加価値部門の各項目の内訳額を推計します。
(3)差額調整
差額調整の方法
家計外消費支出以外の項目では、(1)で推計した総額と(2)で推計した内訳額の行和が異なるため、差額を内訳額の行和に占める各内訳額の構成比により按分し、各内訳額に加えて調整した。
大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」より
家計外消費支出(行)
家計外消費支出(行)は、差額調整を行う必要はありません
家計外消費支出(行)以外の項目
差額調整を行うVBAのコードは、以下のようになります。
Sub 差額調整()
Dim WsOrg As Worksheet '転記元ワークシート
Dim WsDes As Worksheet '転記先ワークシート
Dim i As Integer 'カウンタ変数
Dim j As Integer 'カウンタ変数
Dim total As Long '粗付加価値部門の各項目の総額
Dim tmp As Long '差額調整前の粗付加価値部門の各項目の内訳額
Dim diff As Long '差額
Dim sum As Long '粗付加価値部門の各項目の内訳額の行和
Dim ratio As Double '粗付加価値部門の各項目の内訳額の行和に占める各内訳額の構成比
Dim result As Double '調整結果
Const FirstColumn = 3 '調整開始列番号
Const LastColumn = 192 '調整終了列番号
Const FirstRow = 197 '調整開始行番号
Const LastRow = 204 '調整終了行番号
Const TotalColumn = 195 '粗付加価値部門の各項目の総額列番号
Const SumColumn = 194 '粗付加価値部門の各項目の内訳額行和列番号
Set WsOrg = Workbooks("粗付加価値額推計シート_平成25年大阪府産業連関表.ods").Worksheets("内訳額推計")
Set WsDes = Workbooks("粗付加価値額推計シート_平成25年大阪府産業連関表.ods").Worksheets("差額調整")
For i = FirstRow to LastRow
total = WsOrg.Cells(i, TotalColumn).Value
sum = WsOrg.Cells(i, SumColumn).Value
diff = total - sum
For j = FirstColumn to LastColumn
tmp = WsOrg.Cells(i, j).Value
ratio = tmp / sum
result = tmp + diff * ratio
WsDes.Cells(i, j) = int(result)
Next
Next
End Sub