#193 用語の定義と該当する統合小分類を整理
投稿#192より、追試として2000年(平成12年)神奈川県におけるマテリアルフローの推計に取り掛かっています。
橘ら(2012)における用語の定義と該当する統合小分類を整理
ここで用語の定義を説明する。移輸入とは,県外または国外から,移入または輸入された製品と資源とする。移輸出とは,県外または国外へ,移出または輸出された製品と資源とする。 県内生産(資源)とは,県内で採掘された天然資源とする。エネルギー消費とは,製品製造の過程で消費されたと考えられるエネルギー量とする。一般消費とは,それ以上の加工をされずに,最終商品とし て家庭や政府,企業に売られる製品とする。固定資本形成とは,耐用年数が1年以上で単価が10万円 以上のいわゆる資本財とする。ただし,例外として,機械に組み込まれて新たな機械を構成するもの(機械組込),建設部門がその建設活動の中間材として 購入したもの(建設迂回),土木工事の工事費の内訳として扱われる(土木迂回),鋼船に組み込ま れた機械(造船迂回)や自衛隊が購入した武器なども含まれる。第一次,二次産業への産出とは,第一次,二次産業から他の第一次,二次産業へ投入される製品とする。サービス(第三次)産業への産出とは, 第一次,二次産業からサービス産業へ投入される製品とする。在庫純増とは,対象年次に生産された製品のうち,どの部門にも販売されず,かつ,自家消費もされなかった製品とする。また,購入されたのに使用されなかった製品や原料,半製品および仕掛け品の状態で余ってしまっている製品も含む。廃棄物とは,家庭からの一般廃棄物と事業所からの産業廃棄物とする。
神奈川県の生産活動における2000年のマテリアルフローの図を参考にして、上述の用語の定義と照らし合わせてみます。
定義された用語に該当する統合小分類を整理していきます。
「第一次、第二次産業」と「第三次産業」の区分
サービス(第三次)産業への産出とは, 第一次,二次産業からサービス産業へ投入される製品とする。
(中略)
また,サービス産業への産出は,各項目から内生部門のサービス産業への産出量の値である。
統合小分類における「第一次、第二次産業」と「第三次産業」を区分する表を作成しました。
資源と製品の区分
以下の表にある産業が、「資源」に該当する統合小分類と考えられます。
また、表にない産業のうち、第二次産業に含まれる産業が、「製品」と区分されます。
表193-1 統合小分類における資源と製品の区分
移輸入と移輸出の区分
移輸入(資源)と移輸出(資源)は,物流表の各項目における移輸入(天然資源)と移輸出(天然資源)の値である。
(中略)
移輸入(製品)と移輸出(製品)は,物量表の各項目における移輸入(製品生産)と移輸出(製品生産) の値である。
橘ら(2012)より引用。
投稿#192で作成した2000年(平成12年)神奈川県物量表において、資源に該当する産業項目ごとに列9412(移入)及び列9411(輸入)の値を積み上げていけば移輸入(天然資源)量が、列9212(移出)及び列9211(輸出)の値を積み上げていけば移輸出(天然資源)量が算出できます。
製品生産の移輸入量および移輸出量も同様にすれば推計できます。
エネルギー消費
図193-1において、「廃棄物等」という表記があります。これは、廃棄物量とエネルギー消費量を足し合わせてものと考えられます。
エネルギー消費とは、以下の引用文で仮定された燃料投入量に該当すると考えられます。
石油製品,石炭製品から石油基礎化学製品への投入以外については,製品の材料としては使用されず,燃料として消費されると仮定し,廃棄物の計算から除外した。
橘ら(2012)より引用。
したがって、表193−1にある石油製品、石炭製品は、石油基礎化学製品への投入の場合は「県内生産(資源)」に、それ以外の産業への投入の場合は、「燃料」に計上することが判明しました。
一般消費
一般消費とは,それ以上の加工をされずに,最終商品として家庭や政府,企業に売られる製品とする。
(中略)
蓄積,在庫純増,固定資本,一般消費は,それぞれ物量表の各項目における蓄積,在庫純 増,固定資本形成,家計消費・民間消費・政府支出への産出量の値である。
橘ら(2012)より引用
したがって、家計消費・民間消費・政府支出への産出量を積み上げていけば、一般政府の量が推計できることになります。
在庫純増、固定資本
固定資本形成とは,耐用年数が1年以上で単価が10万円 以上のいわゆる資本財とする。ただし,例外として, 機械に組み込まれて新たな機械を構成するもの(機 械組込),建設部門がその建設活動の中間材として 購入したもの(建設迂回),土木工事の工事費の内訳として扱われる財(土木迂回),鋼船に組み込ま れた機械(造船迂回)や自衛隊が購入した武器なども含まれる。
(中略)
在庫純増とは,対象年次に生産された製 品のうち,どの部門にも販売されず,かつ,自家消 費もされなかった製品とする。また,購入されたのに使用されなかった製品や原料,半製品および仕掛け品の状態で余ってしまっている製品も含む。
(中略)
蓄積,在庫純増,固定資本,一般消費は,それぞれ物量表の各項目における蓄積,在庫純 増,固定資本形成,家計消費・民間消費・政府支出への産出量の値である。
橘ら(2012)より引用