#243 補正係数による生産量の補正
前回の投稿では、産業連関表および初期重量単価を利用して、平成12年の国内天然資源量、移輸入天然資源量を推計しました。
今回の投稿は、統計資料から生産量を推算する方法についてです。
品目別国内生産額表をもとに生産量を推算
橘ら(2012)は、産業連関表および初期重量単価から、各品目の生産量および廃棄物量を推計し、それらの値と他の統計資料から得られる生産量・廃棄物量とを比較しています。
具体的には、以下のように生産量・廃棄物量の計算値と統計値との差を最小化することについて、言及しています。
生産量・廃棄物量の計算値と統計値との差を最小化することによって重量単価の最適化を行う。本研究においては,下に示す式を用いて産業連関表から生産量・廃棄物量を推算した。
$$
産出量 = 算出金額 ÷ 重量単価 (1)
$$
$$
廃棄物量 = Σ(他産業からの当該産業への産出金額÷重量単価)+ Σ(当該産業からの他産業への産出金額÷重量単価)-当該産業への燃料投入量 (2)
$$
(中略)
これらの式によって得られる値を,他の統計資料から得られる生産量・廃棄物量と比較する。生産量については,前節で述べた方法によって品目別国内生産額表をもとに推算した。廃棄物量は,環境省監修の環境統計集を用いて推計した。
生産量の統計値として、品目別国内生産額表をもとに推算した値を利用しているようで、本研究でも、品目別国内生産額表をもとに推算していきます。
品目別国内生産額表に記載されている細品目を対象として、生産量を収集・積み上げ、平成12年産業連関表統合小分類の生産量を推計します。同時に生産額についても積み上げ算定します。
その際、品目別国内生産額表の細品目を産業部門ごとに積み上げた生産額は、必ずしも産業連関表の生産額と等しくなりません。
そこで、吉田ら(2006)が提唱する補正係数を用いて生産量を補正することにします。
補正係数による生産量の補正
細品目を産業部門ごとに積み上げた生産額は必ずしも産業連関表に表示されている生産額と等しくならない。(中略)過不足が生じる場合には、次式(1)により生産量を補正した。産業連関表の生産額を基準として 、積み上げ生産額との比を補正係数として生産量を補正した。
$$
{YP^S}_i = {α^S}_i ✕ {YP^{SC}}_i
$$
$$
{YP^S}_i : i産業の域内生産量
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$$
{YP^{SC}}_i : i産業の積み上げた域内生産量(作成データ)
$$
統計調査に基づく(積み上げ)産業別生産額と滋賀県産業連関表の産業別生産額の比をαSiとすると、 生産量は式(2)で表される。
$$
{α^S}_i = \frac{{YM^{SI}}_i}{{YM^{SC}}_i}
$$
$$
{YM^{SI}}_i : i産業の域内生産額(産業連関表)
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$$
{YM^{SC}}_i : i産業の積み上げた域内生産額(作成データ)
$$
本研究では、式(1)および(2)の「域内」を「国内」という用語に置き換えて、補正係数を導入することにします。
また、補正係数が2を超える場合、品目別国内生産額表を元に生産量を推算することが不可能と判断することにします。
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