#195 2000年(平成12年)兵庫県物量表の推計

投稿#194までにおいて、以下の先行研究の追試を行い、概ね妥当な追試結果を得ることができました。

橘 隆一, 近藤 浩正, 荒川 正幹, 後藤 尚弘, 船津 公人, 藤江 幸一, 産業連関表を用いた重量単価の最適化モデルの開発と神奈川県のマテリアルフロー分析への応用, 環境科学会誌, 2012, 25 巻, 2 号, p. 134-150

本投稿から、先行研究と同様の手法を用いて、2000年(平成12年)兵庫県の生産活動におけるマテリアルフローの推計に取り掛かることにします。

2000年(平成12年)兵庫県産業連関表を入手

産業連関表(平成12年(2000年)統計表)より、基本分類(186部門表)をダウンロードします。

また、部門分類・コード表も入手し、橘ら(2012)の付録1「各品目の重量単価(t/百万円)の部門分類・コードがどの程度一致しているのかを確認します。

確認の結果、橘ら(2012)の付録1に記載がある産業分類はすべて、2000年(平成12年)の兵庫県産業連関表基本分類と部門分類・コードともに一致していました。

2000年兵庫県産業連関表ファイルをcsvファイルにして保存

先ほどダウンロードした2000年(平成12年)兵庫県産業連関表を加工します。まず、取引金額が3桁区切りで表示されているので、セルの書式設定において3桁区切りのチェックを外します。

次に、産業分類コードが入力されているセルにおいて、セルの書式設定が文字列になっているかを確認し、なっていない場合には文字列に変更します。

産業分類コード「9099」以降の行を削除したら、ファイル形式をcsvにして保存します。

行コードを4桁にしたものをインデックスに指定する関数を定義

産業連関表のcsvファイルをデータフレーム形式で読み込みます。その際、産業分類コードを4桁の文字列インデックスとして変換したデータフレームを返す関数を定義しておきます。
関数として定義する理由は、インデックスが産業分類コードのcsvファイルをデータフレーム形式で読み込むことが何度かあるためです。

Pythonのコードは、以下のようになります。

コード195-1 4桁の産業分類コードをインデックスとしたデータフレームを返す関数

def fourcodeindex(df):
    df.rename(columns={'Unnamed: 0':'code'}, inplace=True)
    df['code'] = df['code'].astype('str')
    for i in range(len(df)):
        if len(df.iat[i, 0]) == 3:
            df.iat[i, 0] = '0' + str(df.iat[i, 0])
    df = df.set_index('code', inplace=True)
    return df

重量単価を用いて産業連関表のキャッシュフローをマテリアルフローに変換

MFは,産業連関表の取引金額に重量単価を乗じて,取引額を取引物量に変換した値を用いて推計した。

橘ら(2012)より引用

上記の引用文における「MF」は、Material Flow、つまり物量(取引物量)のフローになります。

産業連関表の取引金額に重量単価を乗じて、取引額を取引物量に変換しました。なお、重量単価の表は、投稿#192において作成したものを利用しました。物量(取引物量)を記載した表を「物量表」と呼ぶことにします。

なお、単位をt/人/年とするため、各項目を平成12年の兵庫県の人口で割ります。

Pythonのコードは、以下のようになります。

コード195-2 2000年兵庫県物量表を作成

df_h12_mt = df_h12_hyogo_io.copy()
df_h12_mt[:] = 0
# 産業連関表の取引金額に重量単価を乗じて、取引金額を取引物量に変換
for i in df_h12_hyogo_io.index:
    for j in df_h12_wpup.index:
        if j == i:
            for k in df_h12_hyogo_io.columns:
                df_h12_mt.loc[i][k] = df_h12_hyogo_io.loc[i][k] * df_h12_wpup.loc[j]

pop = 5550574   # H12兵庫県人口
df_h12_per_cap_mt = df_h12_mt / pop   # t/人/年に換算
df_h12_per_cap_mt

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