#178 Pythonを用いて2014年(平成26年)大阪府産業連関表の最終需要部門を推計(その1)

前回の投稿(#176)までで、2014年(平成26年)大阪府産業連関表における生産額、粗付加価値額、中間投入額を推計してきました。

今回の投稿から、最終需要部門の推計に移ります。

最終需要部門の推計

(1)家計外消費支出(列)

推計方法の確認

総額は、粗付加価値部門の家計外消費支出(行)の行和と同額である。内訳額は、全国延長表の家計外消費支出(列)の構成比を用いて配分して推計した。

大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」より引用

タテ(列)方向で部門統合

投稿#176にて、平成26年全国延長表(基本分類)を統合小分類(190部門)に統合しました。

その際、最終需要部門における部門統合を忘れていたので、ここで行うことにします。

最終需要部門におけるタテ(列)方向での部門統合を行うPythonのコードは、以下のようになります。

コード178-1

# H26全国延長表の最終需要部門におけるタテ(列方向)での部門統合

# h26全国延長表基本分類のCSVファイルを読み込む
h26_japan_enl_all_fd_df = pd.read_csv("H26全国延長表_最終需要部門.csv")
# h26全国延長表基本分類のインデックスのコードを7桁の文字列に変換
h26_japan_enl_all_fd_df = to_str_in_code(h26_japan_enl_all_fd_df, 6)
h26_japan_enl_all_fd_df
# h26全国延長表最終需要部門列方向統合用CSVファイルを読み込む
h26_japan_enl_fd_df = pd.read_csv("h26全国延長表最終需要部門列方向統合.csv")
# h26全国延長表列方向統合のインデックスのcodeを4桁の文字列に変換
h26_japan_enl_fd_df = to_str_in_code(h26_japan_enl_fd_df, 3)
h26_japan_enl_all_fd_df
# タテ(列方向)で部門統合
for i in range(len(h26_japan_enl_fd_df.columns)):
    idx_int = h26_japan_enl_fd_df.index
    for j in range(len(idx_int)):
        code4d = idx_int[j]
        total = 0
        idx_all = h26_japan_enl_all_fd_df.index
        for k in range(len(idx_all)):
            code7d = idx_all[k]
            if code7d.startswith(code4d):
                total += h26_japan_enl_all_fd_df.iat[k, i]
            else:
                continue
        h26_japan_enl_fd_df.iat[j, i] = total

家計外消費支出(列)の内訳額の推計

最終需要部門の推計結果を格納するDataFrameを用意しておきます。

コード178-2

# H26大阪府産業連関表最終需要部門DataFrameを作成
h26_fd_df = h26_japan_enl_fd_df.copy()
for col in h26_fd_df.columns:
    h26_fd_df[col] = 0
h26_fd_df

家計外消費支出(列)の内訳額を推計する関数を定義しておきます。
その理由は、他の最終需要部門の内訳額の推計でも同じ推計方法を採用するためです。

コード178-3

# 最終需要部門の各項目の内訳額を推計する関数を定義
def estimate_each(df, col_code, total):
    rowsum = h26_japan_enl_fd_df.loc["0111":"6911", col_code].sum()
    for idx in df.index:
        tmp = h26_japan_enl_fd_df.loc[idx, col_code]
        ratio = tmp / rowsum
        df.loc[idx, col_code] = total * ratio
    return df

先程定義した関数を用いて家計外消費支出(列)を推計します。

コード178-4

# 家計外消費支出(列)の推計
# 総額(total)は、粗付加価値部門の家計外消費支出(行)の行和と同額
total = h26_adjusted_gav_df.loc["7111", :].sum()
col_code = "711100"
h26_fd_df = estimate_each(h26_fd_df, col_code, total)

(2)家計消費支出

推計方法の確認

総額は、下式により求めた。
内訳額の推計方法は、家計外消費支出(列)と同様である

$$
全国延長表の家計消費支出額×\frac{府民経済計算の家計最終消費支出額}{国民経済計算の家計最終消費支出額}
$$

大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」より引用

家計消費支出の総額の推計

国民経済計算の家計最終消費支出額は、内閣府「2020年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA)」における「フロー編」の「5. 付表(11) 家計の形態別最終消費支出の構成」での名目の値を利用しました。

府民経済計算の家計最終消費支出額は、大阪府総務部統計課「大阪府民経済計算(平成30年度 確報)」における「第2編 統計表(平成18年度から平成30年度)」の「2主要系列表 (5)府内総生産(支出側:名目)」の平成25年度と平成26年度の値から暦年換算することで推計しました。

家計消費支出の内訳額の推計

内訳額の推計方法は、(1)家計外消費支出(列)と同様なので、推計するPythonのコードはコード178-4と同じになります。

対家計民間非営利団体消費支出

推計方法

大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」には推計方法の記載がありませんでした。

今回は、(2)家計消費支出と同様の方法で推計していきます。
まず、総額を下式より求めます。
$$
全国延長表の対家計民間非営利団体消費支出額×\frac{府民経済計算の対家計民間非営利団体最終消費支出額}{国民経済計算の対家計民間非営利団体最終消費支出額}
$$

内訳額は、家計外消費支出(列)と同様の方法で推計します。

実際の推計

国民経済計算の対家計民間非営利団体最終消費支出額は、内閣府「2020年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA)」における「フロー編」の「5. 付表(13) 対家計民間非営利団体の目的別最終消費支出」の名目の平成25年度と平成26年度の値から暦年換算することで推計しました。

府民経済計算の対家計民間非営利団体最終消費支出額は、大阪府総務部統計課「大阪府民経済計算(平成30年度 確報)」における「第2編 統計表(平成18年度から平成30年度)」の「2主要系列表 (5)府内総生産(支出側:名目)」の平成25年度と平成26年度の値から暦年換算することで推計しました。

対家計民間非営利団体消費支出の内訳額の推計

内訳額の推計方法は、(1)家計外消費支出(列)と同様なので、推計するPythonのコードはコード178-4と同じになります。

(3)一般政府消費支出

推計方法の確認

総額は、下式により求めた額から下記(4)の社会資本減耗分を引いた額である。
内訳額の推計方法は、家計外消費支出(列)と同様である。

$$
全国延長表の一般政府消費支出額×\frac{府民経済計算の政府最終消費支出額}{国民経済計算の政府最終消費支出額}
$$

(4)一般政府消費支出(社会資本減耗分)
粗付加価値部門の資本減耗引当(社会資本減耗分)と同額である。

大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」より引用

一般政府消費支出の部門統合

上述の(1)家計外消費支出(列)において、全国延長表(基本分類)をタテ(列)方向に統合小分類(部門数190)で部門統合を行いました。

この表では一般政府消費支出が以下のような分類に分かれているので、統合を行います。

  • 731101 中央政府集合的消費支出
  • 731102 地方政府集合的消費支出
  • 731103 中央政府個別的消費支出
  • 731104 地方政府個別的消費支出

一般政府消費支出の統合を行うPythonのコードは、以下のようになります。

コード178-5

# 一般政府消費支出の部門統合
# H26全国延長表参集需要部門表に7311一般政府消費支出の列を作成
h26_japan_enl_fd_df.insert(3, "7311", h26_japan_enl_fd_df["731101"] 
                           + h26_japan_enl_fd_df["731102"] + h26_japan_enl_fd_df["731103"] 
                           + h26_japan_enl_fd_df["731104"])

一般政府消費支出の総額の推計

国民経済計算の一般政府最終消費支出額は、内閣府「2020年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA)」における「フロー編」の「5. 付表(6-1) 一般政府の部門別勘定」の名目の平成25年度と平成26年度の値から暦年換算することで推計しました。

府民経済計算の一般政府消費支出は、大阪府総務部統計課「大阪府民経済計算(平成30年度 確報)」における「第2編 統計表(平成18年度から平成30年度)」の「2主要系列表 (5)府内総生産(支出側:名目)」の平成25年度と平成26年度の値から暦年換算することで推計しました。

一般政府消費支出(社会資本減耗分)は後述する(4)において推計します。

(4)一般政府消費支出(社会資本減耗分)

推計方法の確認

粗付加価値部門の資本減耗引当(社会資本減耗分)と同額である。

大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」より引用

Pythonのコードは、以下のようになります。

# 一般政府消費支出(社会資本減耗分)の推計
# 7321一般政府消費支出(社会資本減耗分)の列を挿入
h26_fd_df.insert(4, "7321", 0)
# 列7321に行9332(粗付加価値部門の資本減耗引当(社会資本減耗分))を代入
for i in range(len(h26_adjusted_gav_df.columns)):
    h26_fd_df.iat[i, 4] = h26_adjusted_gav_df.iat[-3, i]

(5)府内総固定資本形成(公的、民間)の推計

推計方法の確認

総額は、下式より求めた。
内訳額の推計方法は、家計外消費支出(列)と同様である。

$$
全国延長表の国内総固定資本形成額×\frac{府民経済計算の府内総固定資本形成額}{国民経済計算の国内総固定資本形成額}
$$

大阪府総務部統計課「平成25年(2013年)大阪府産業連関表(延長表)報告書」より引用

府内総固定資本形成(公的、民間)の推計

国民経済計算の国内総固定資本形成(公的、民間)は、内閣府「2020年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA)」における「フロー編」の「5. 付表(15) 民間・公的別の総資本形成」の名目の平成25年度と平成26年度の値から暦年換算することで推計しました。

府民経済計算の府内総固定資本形成(公的、民間)は、大阪府総務部統計課「大阪府民経済計算(平成30年度 確報)」における「第2編 統計表(平成18年度から平成30年度)」の「2主要系列表 (5)府内総生産(支出側:名目)」の平成24年度と平成25年度の値から暦年換算することで推計しました。

府内総固定資本形成(公的、民間)の内訳額の推計
内訳額の推計方法は、(1)家計外消費支出(列)と同様なので、推計するPythonのコードはコード178-4と同じになります。

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